先日、DVDで雲のむこう、約束の場所を観たのですが、その後、ヒロキ、タクヤ、そしてサユリがどうなったのかが気になって、単行本を買ってしまいました。
400ページ近くあったのですが、1日で読んでしまいました。
小説を読んだ後に、またDVD(これで3回目)を観て、余韻に浸ってしまいました。


単行本は、基本的には映画と同じストーリーですが、映画で省略されていた点が詳しく描かれていて、より映画に対する理解が深まりました。
以下、過度なネタばれにならないように感想を書いて見ます。

(1) 中1の時の文化祭
ヒロキとタクヤは、いきなり人が乗れる飛行機を作ろうとしたわけではありませんでした。
ラジコンのジェット飛行機を作って文化祭でゲリラ的に飛ばすというプロローグがありました。

(2) 現国の課題
ヒロキとタクヤはサユリに関心があり、飛行機作りをしているところを見せて仲良くなったのですが、実はそれ以前にも、現国の課題をヒロキ、タクヤ、サユリの3人のグループでやったことがありました。
この時、3人はタクヤの家に集まっています。
飛行機に関係して急に親しくなって3人の仲良しが出来たわけではなかったようです。

(3) 水野理佳
映画では高校生のヒロキが学校を一緒に帰っていた女の子として、戦車が運搬されている列車を見ながら「これに乗って青森まで密航しようか」という科白のほんの短いシーンにとどまっていましたが、単行本では水野理佳とのことが中盤で割りとしっかり書かれています。
高校時代のヒロキの心理状態が描写されており、映画では空白だった期間が分かりますね。
ヒロキがサユリのことを一途に意識していたことも分かります。

(4) 映画のその後
映画は、冒頭、大人になったヒロキの回想シーンから始まりました。
回想をするということは、回想の相手は、今はそばにはいないということです。
では、タクヤとサユリはそれぞれどうしているのか、気になるところです。
タクヤは、ヴェラシーラが飛び立った時を最後にヒロキとは会うことはなく、後にユニオンに渡ったらしいです。科学技術を追求するタクヤには、自然な選択だったのかも知れません。
そして、サユリは、眠り姫状態から脱し、目覚めの後の3年ほどヒロキと共に暮らします。3年間の眠りの後でリハビリが必要で、他に頼る人もいなかったのでしょう。でも、ヒロキとサユリにとっては幸せなひと時だったようです。
そこまではハッピーエンドだったのですが、暮らし始めてから3年後(青森で2年、東京で1年)、サユリはヒロキに

「わたしは自分自身にならなくちゃいけないと思うの。あなたのいないところで。あなたに頼らずに、自分で選んだり、自分で歩いたりしなければいけないの。たぶん、その時が来たのよ。...」
と言い、ヒロキの元を去ります。
中学3年生の夏から、サユリの自分自身としての生き方や成長が止まってしまい、21歳になって、それを取り戻したくなったのでしょう。
もちろん、夢の中で抱いていたヒロキへの思いは、現実でも同じで、それが変わったわけではありません。でも、それ以上に、「自分自身であることの発見」を、サユリは選びました。
個人的には、ヒロキの元にいてもサユリは自分らしい生き方を見つけることは出来たのではないかと思わなくもありません。が、大人になってから、遠い空の下で生きているかつて学生時代に愛していた人を思い続けるというエンディングも、哀しいですが、悪くはないなと思います。

とにかく、私がこれまでに観たアニメーション映画の中で、5本の指に入る作品だと思います。
また、いつか観直そうと思っています。

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