Kanon 8【感想】

TSUTAYAのDISCASでKanon(カノン)のDVDを順次レンタルして見ています。ようやく最後まで見終わりました。
DVDの第8巻には、第22話「追想の交響楽~symphony~」、第23話「茜色の終曲~finale~」、そして最終話である第24話「夢の果ての追復曲~kanon~」が収録されています。
全体的に、奇跡という言葉(及び展開)が多用されているのが気になりますが、それがKanonのテーマなのかなとも思えます。

まずは第22話「追想の交響楽~symphony~」ですが、秋子さんが交通事故に遭ったという連絡を受けた祐一と名雪は病院に向かう途中、事故現場を通ります。
名雪の目に入ったのは事故現場に落ちていたイチゴのケーキ、「私がイチゴケーキ食べたいなんて言ったせいで」と落ち込んで、引きこもり状態になってしまいます。事故に遭ったのはたまたまで、イチゴケーキを買う用がなくても外出はしていたのでしょうから、名雪のせいではありません。ただ、事故現場に無残に残されていたイチゴケーキは、お願いをした名雪本人には、見過ごすことが出来なかったのだと思います。
名雪の部屋で、祐一は、名雪からけっこうきついことを言われます。「7年間、私のこと、忘れてたのに」「手紙の返事、一度もくれなかったよね」「再会した時、怖かったんだよ。私のこと、忘れてるんじゃないかって」「笑えなくなっちゃったよ」「出てって」等々。これまで、ちょっとおとぼけの性格の女の子として扱われて来ただけに、そのギャップが大きかったです。また、目の描き方が、名雪の心境をよく表していて、そのあたり京都アニメーションはすごいなと感じました。
一方、祐一も、7年前のあゆとのことを思い出します。祐一と会っている時に、木から落ちて体が動かなくなったあゆ。指きり、カチューシャなど、これまでの様々な出来事と符合します。
家を飛び出した祐一は、雪の中で行き倒れます。真琴のことを思い出していたので、てっきり、きつねに助けられるのかと思っていたのですが...

第23話で、白い部屋で目覚めた祐一は、自分を助けてくれたのが、幼い頃にあこがれていた本物の沢渡真琴だと知ります。外見もそうですが、冷蔵庫に肉まん、家の鍵に鈴、等、きつねの真琴を連想させる類似点が多々あったのは、多分、あのきつねが人間の姿になる際に、本物の沢渡真琴をイメージしていたのでしょうね。
一方、祐一から名雪を任された北川ですが、てんぱってしまい、香里を応援に呼びます。香里は、栞の病気(余命)のこと、自分が栞にどのように接して来たのかを含め、名雪に話し掛けます。香里は、自分の気持ちが整理出来ているのでしょうね。加えて、栞が香里に「自分は大丈夫だから、水瀬さんのところに行って。」と言っていたというのも、印象的でした。
一方、祐一はあゆと再会し、かつて聞くことが出来なかった3つ目の願いを聞きます。
あゆがまず言ったのは、「僕の事、忘れてください。最初から、いなかったんだって、思ってください。」ということ。祐一がこれからも辛い思い出を抱えて生きて行くより、忘れてもらったほうが祐一が幸せになれるだろうという思いからでしょう。が、これは、祐一に拒否されます。そして、言い直された願いは、最終話で栞が祐一に語った言葉から察するに、おそらくは「祐一が幸せでいること、そのために祐一の周りの人がみんな幸せでいること」といった内容のことだったのだと思います。
第23話の最後、名雪は祐一を探しに出ていて、7年前に最後に会った時のベンチで祐一を見つけます。「これで、おあいこ」という言葉は、名雪なりに色々と考えた末に選んだ結果の言葉なんだろうと思いました。

そうして迎えた最終話ですが、「一話、見逃した?」と思ってしまうくらい、状況が変わっています。
名雪が普段通りに戻ったのに加えて、秋子さんも後遺症もなく日常生活を送っています。
栞も学校に出て来ており、病気は治ったようです。祐一に、「私、本当は死にたくなかったんです。」と、心境を吐露していました。その後は美術部に入って活躍したようです。
舞も佐祐理も、卒業式よりも前に退院して来ていました。「受験には間に合わなかった」と言っていましたが、「受験生だったら、舞踏会に出ている余裕なんてなかったのでは?」と突っ込んではいけないのでしょうね。舞は獣医を目指すようですが、舞の能力を使ったら、どんな状態の動物でも治せてしまいそうな気がします。

そんなふうに、皆が元気になった後、街でばったり秋子さんに会った祐一は、秋子さんに、7年前のことを思い出したことを伝えます。
いつも一緒に遊んでいたあゆが、祐一の目の前で木から落ちて、大怪我をしたこと。そして、あゆは実はもうこの世にはいないのだろうということ。
これでも、エンディングとしては十分に成立していると思うのですが、ここでどんでん返し、ちょっと予想外でした。

秋子さんは祐一に、かつて大怪我をした女の子は死んではいなかったと、告げます。
病院に駈け付けた祐一は、7年間眠り続けているあゆと対面、その手には、天使の人形が握られていました。
祐一を始めとした皆が世話をしたからか、あるいは舞の能力によるものなのか、あゆは眠りから覚め、車椅子ながらも日常生活を送れるようになります。

そういうエンディングもあるのだなと思いつつ、個人的には、何か別の終わり方を期待していたように思えます。