ネットオークションに参加することのデメリット/リスクとして、前回に引き続いて利益について書きます。
今回は、出品者の視点で書きます。
ネットオークションで手持ちのものを売った場合の利益は、大雑把に考えると「落札価格-原価」ですが、厳密には「落札価格-原価-手数料」になります。
この手数料が、意外と大きいのです。
以下、ヤフーオークション(ヤフオク)を例に挙げます。
出品して、落札してもらい、落札者と連絡を取り、取引を完了するまでのコストを、仮に、落札価格3,000円、時給900円で計算してみます。
端数が面倒なので、消費税は無視します。
(1) 出品
商品を綺麗にして、写真を撮影し、商品の説明文章を作成し、出品システムを使って出品します。
出品システム使用料は10円ですが、出品を終えるまでの作業に、30分くらいは掛かりますよね。
似たような商品の出品をたくさんすれば効率も上がるでしょうけど、単品で、その商品に対して初めて説明文章を作るとなると、真面目に取り組むと推敲して書き直すので、結局30分くらいは掛かるものです。
そうすると、出品コストは約460円になります。
(2) 出品中
出品中に、質問が来ることがあります。
私の場合、1回の出品について、質問は平均して1回未満でしたが、多い時は5,6件来たこともあります。
切り上げて1回/1出品としましょう。
1件の対応に6,7分かかるとして、質問対応コストは約100円になります。
(3) 落札
落札されると、落札価格の3%が落札システム利用料としてヤフオクから出品者に課金されます。
落札価格3,000円だと、90円といったところですね。
(4) 落札後
落札後、出品者から落札者にメールで連絡を入れます。
順調に行った場合を仮定すると、出品者→落札者→出品者で、取り引きに必要な情報は一通り揃います。時には、もう一往復かかる場合もあります。
出品者としては、メールを書いて出して、落札者からの返信内容を確認することになります。
初めての出品だと、どういう文面のメールを出せば良いか悩むこともあるでしょうが、2回目以降の出品であれば、落札者から教えて欲しい内容はある程度決まってしまいます。私は、ほとんどの場合、前回の取引メールをテンプレートとして流用していました。
それでも、編集、読み返し等で、少なくとも10分くらいは掛かりますので、そのコストは約150円です。
(5) 発送
実は、これが最も時間と手間が掛かる作業だったりします。
梱包に必要な部材を揃え、商品の汚れ等を落とし、付属品に漏れがないか確認した上で、丁寧に梱包します。
そして、コンビニや郵便局に持ち込んで、発送手続きをします。
自宅での梱包作業に20分、コンビニか郵便局まで持ち込んでレジか窓口で発送手続きして戻って帰って来るのに少なくとも20分、合計40分くらいは掛かりますので、そのコストは交通費を無視しても600円くらい掛かります。
(6) 入金確認・評価
さっくり6,7分で済ませるとして、対応コストは約100円になります。
以上、(1)-(6)を合計すると、1,500円ですね。
仮に3,000円で落札してもらっても、その半分は出品者側の手間賃・手数料に消えます。
極端な話、1,500円以下で落札されるくらいなら、ゴミとして捨ててしまうか、ごく身近な人に手渡しか「取りに来てくれたあげるよ」と言って譲ってしまったほうが良いことになります。
5,000円以上で落札される商品なら、手間賃1,500円余りというのは、まあ、辛うじて納得できるところでしょうか。
普段、時間に余裕のある人なら、小額落札でも気にすることはないでしょうけど、常勤で毎日残業して疲れて夜遅くに帰宅するような生活を送っている人には、考え物でしょう。
家族との対話に時間をあてるとか、将来のために勉強するとか、少しでも長く睡眠を取るとか、もっと有効な時間の使い方があるはずです。
出品する前に、上記のことを念頭においた上で出品するか、捨てるか、誰かにあげるか、よく考えてみることをお勧めします。
次回は、ちょっと別の視点で、オークションと環境問題について書こうと思います。
「自分では利益が出なくても、誰か他の人に再利用してもらえばゴミにならなくて環境に優しいんだ」という考えの方(自分も、昔はそうでした)、ぜひ、一読の上、一考していただけたらと思います。
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