今回は、ネットオークションで採用されている評価システムについて書きます。
「ネットオークションで見知らぬ人と取引するのは怖いなあ」と言う人に、「評価システムがあるから、相手の過去の取引状況を見て、怪しいと思われる人とは取り引きしなければいいんだよ」と答える人もいると思います。
果たして、これは、本当でしょうか?
ヤフーオークション(以下、ヤフオク)では、半分は正しいですが、半分は正しくありません。
どういうことかと言いますと、落札者は出品者を選べますが、出品者は落札者を選ぶことができないのです。
落札者が出品者を選べると言うのは、あえて詳しく書くまでもないでしょう。
欲しい商品を見つけたら、入札する前に、出品者の過去の取引履歴にじっくり目を通せば、どれくらい信用できそうか、ある程度は分かります。
でも、「良い」または「非常に良い」評価だけだったとしても、100%信用できるわけではありません。
その理由については、また次回に書くつもりです。
次に、出品者は落札者を選ぶことが出来ないことについてですが、「そんなことはない。ヤフオクには、入札者の最低評価値を指定できるし、ブラックリストにも登録できるし、入札者の削除や、落札者の削除もできる」と反論する人もいるでしょう。
でも、上記4点のどれも、実際にはうまく機能しないのです。
以下に具体例を書きます。
(1) 入札者の最低評価値
「合計評価値がXX以下の人には落札してほしくない」というニーズには、応えられます。
ここで、出品者が、仮に「評価値が5以下の人は落札して欲しくない」と設定したとしましょう。
落札者として、オークションを始めたばかりのAさんは、まだ4回しか取り引き経験がなく、すべて「非常に良い」という評価でも、Aさんの評価値は4です。ですから、入札できません。
別の落札者として、オークション経験が豊富なBさんは、けっこうトラブルを起こしたことがあり、「非常に良い」or「良い」評価が50、「悪い」or「非常に悪い」評価が40あったとしましょう。Bさんの評価値は10です。ですから、入札できます。
多くの出品者は、AさんとBさんなら、Aさんと取り引きしたいですよね。でも、入札できるのはBさんであって、Aさんではないのです。
ということで、現状の、入札者の最低評価値を指定できる仕組みは、機能として十分ではないと言えます。
(2) ブラックリスト
これは、過去に取り引きして嫌な思いをした人を登録しておいて、二度と取り引きしないで済む目的には使えます。
でも、同じ人と複数回取り引きすることは、通常、滅多にありません。
私は、ヤフオクで200回以上の取り引きをしたことがありますが、同じ人との別時期の取り引きは1回だけでした。同時期に「一緒に発送して欲しい」ということで複数落札してもらったのが2,3回です。
それに、問題のある取り引きを繰り返す人は、すぐにIDを変えてしまいますので、ブラックリストへの登録もほとんど意味をなしません。
そんなわけで、ブラックリストも、不特定多数相手には使えないのです。
(3) 入札者の削除
これは、時々オークションの入札者の評価内容をチェックすれば、ある程度は機能します。
しかし、オークション終了直前に入札されると、入札者の評価内容をチェックする前に、落札者として確定してしまいます。
「自動延長」を有効にしておいて、出品者がオークション終了時刻前後にずっとパソコンにへばりついていればうまく処理できますけど...
普通は、そこまで自分の時間を束縛されたくないですよね。
(4) 落札者の削除
上記の(3)で対応できず、オークションが終了してから「この人、もしかしたら危険かも」と思った場合、最上位の落札者を削除することは可能です。
でも、出品者都合で削除すると、オークションのシステムから「非常に悪い」という評価が自動的に付きます。さらに、落札者からも「非常に悪い」もしくは「悪い」評価が付きますので、自分の評価は-2されます。
落札者に断りもなく落札者都合で削除すると、今度は、落札者から「連絡もなしに一方的に落札者都合で削除されました」といいうコメントとともに「非常に悪い」という評価がつくでしょう。これでは、自分自身が「取り引きしたくないオークション参加者」になってしまいます。
以上、(1)から(4)で述べたように、多くの場合、出品者は落札者を選ぶことが出来ず、かなりの手間を掛けないと、トラブルに発生する可能性を下げることはできないのです。
たまたま危険な落札者に落札されてしまった場合、出品者に取れる手段は、とにかくトラブルに発展しないように、慎重に、丁寧に、適度な間隔で確認を取りながら、「トラブルに発展しないように」と祈りながら取り引きを進めるしかありません。
ネットオークションに出品者として参加する場合は、上記のことを念頭に入れた上で、出品・取り引きに臨むことをお勧めします。
次回は、「そもそも、評価の値って、どこまで参考に出来るの?」という視点で書くつもりです。
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