最低賃金の安易な引き上げには反対

衆議院議員選挙に向けて選挙戦が始まっていますが、一部の野党の選挙カーから「最低賃金を引き上げます」という声が聞こえて来ます。
選挙カーの声ではそれしか言っていないので、どこまで真面目に考えているのか分かりませんが、個人的には最低賃金の「安易な」引き上げには反対なので理由と共に書いておきます。

理由はいくつかありますが、重要そうなものとして、最低賃金を引き上げると逆に賃金が下がる人達がいることと、若者の勉学意欲を削ぐことになること、の2つを挙げます。
以下、理解を容易にするために金額は例として挙げています。「今の最低賃金はそんな金額ではない」というコメントは無しでお願いします。

(1) 最低賃金を引き上げると逆に賃金が下がる人達がいること
仮に最低賃金が1,500円だったとして、これを+20%で、1,800円にしたとしましょう。
その職場にいる今の時間単価2,000円の人や3,000円の人の単価はどうなるでしょうか。同様に+20%になるでしょうか。そんなことはあり得ません。
経営者視点では人件費の総額を急に大幅には上げられないからです。
今の時間単価2,000円の人は、最低賃金の人達に立場が近いこともあって、若干は上げてもらえるかもしれませんが、せいぜい2,100円か2,200円といったところでしょう。
今の時間単価3,000円の人は、おそらく据え置きになることが多いでしょう。場合によっては他の○○手当が対象外になって総支給額が減るかも知れません。
賃上げの代わりに、総人員数の削減などによって、人件費総額が大きく上がらないようにするかも知れません。総人員数が削減されると、一人の人が担当することが増えたり、残業手当の付かない管理職にしわ寄せが行ったりすることもあるでしょう。こうした負担の行先は、最低賃金で働く人ではないことも多いでしょう。
要するに、最低賃金の引き上げは、最低賃金で働いている人にとってはメリットになるのでしょうけど、そうでない人達にとってはデメリットになる可能性が高いと言えます。

(2) 若者の勉学意欲を削ぐこと
これは何年か前にSNSで見た投稿なのですが、確か、看護師資格を持っている人が「病院で働いている自分の時給は、飲食店のアルバイトの時給とほとんど変わらない。看護師なんてやってられない」とぼやいていました。職業に貴賤を付ける気はありませんが、やはり、責任のある仕事をする人のほうが時給は高くあるべきだと思うのです。
また、中学校・高校で一生懸命勉強して、奨学金を使って大学を卒業したものの(今、大学生の2人に1人は奨学金を使っているとのこと)、就職できたのは給与水準の高くない企業で、奨学金の返済を抱えながらほぼ最低賃金からのスタートとなる人もいるでしょう。一方で、あまり勉強をすることなく高校を卒業して、そのままフリーターになる人もいるのですが、その人は奨学金の返済という借金もなく、どんな仕事でも採用されたら最低賃金は保証され続けます。
要するに、最低賃金の引き上げは、苦労して高学歴を得たり資格を取ったりした人と、そうでない人との賃金格差を小さくすることになるわけで、「賃金に対して差が出ないのであれば、学歴も資格も大した価値がない」という認識につながり、若者が勉学を重視しなくなりかねません。そうなると、将来の日本の国力が下がることになります。

以上が、私が、最低賃金の「安易な」引き上げに賛成しない理由となります。
すべての労働者が一様に賃上げになる形での最低賃金の引き上げであれば賛成したいですが。
衆議院議員選挙では、将来の日本のことをしっかり考えている政党・政治家に勝って欲しいです。