今回からはネットオークションの評価システムについて書きます。
視点はいくつかあります。
例えば、高い評価への執着心、評価システムの有効性、などが挙げられます。
今回は、高い評価値への執着心について書きます。
なお、私はヤフーオークション(以下、ヤフオク)しか利用したことがないので、他のネットオークションでは事情が違っているかも知れないことをご了承ください。
さて、自分のIDに高い評価がついているのと、低い評価がついているのとでは、普通の人は高い評価がついているほうが、「信頼度が高いことの証明であり、気分が良い」と感じますよね。
取り引きによって、他人から感謝され、良い評価をつけてもらえれば、悪い気分にはならないでしょう。
そして、ある程度良い評価が蓄積されて来ると、それがあたかもネットにおける自分のステータスであるかのような錯覚を覚えるようになります。
こうなると、オークション中毒の初期症状と言えます。
例えば、何か、すぐ近くのお店で買えない商品が欲しくなったとします。
通販で買えるものでも、「オークションで探せば、通販より安く買えるかも知れない」と思うだけなら良いのですが、「通販と同じくらいの値段か、通販より少し高い値段でも、オークションを使って取り引きをすることでプラス評価が得られるなら、オークションで買ってしまおう」という心理状態になることがあります。
特に、誰かと競り合いになった場合に、通販での最安価格を越えそうになった時に、自分が競り落とす行為を正当化するために、そう思い至ることがあります。
出品する場合にも、似たようなことが起こります。
以前、こちらの記事ネットオークションでものを売ることで細かく書きましたが、ネットオークションで何かを売ると、落札価格が3,000円として、売り手のコストとして1,500円くらいは掛かってしまうのです。
比較的簡単に出品・取り引きができるとしても、実質1,000円くらいに相当する労力は掛かります。
5,000円を越える落札価格が見込めるならまだしも、数百円でしか売れなければ、完璧に赤字で、時間の無駄です。
また、こちらの記事ネットオークションと環境問題でも書きましたが、個人宅から個人宅への運送というのは、環境にも良くありません。
深層心理に自分のIDの評価が高くなることへの憧れがあると、例えば予備として持っていればそのうちに使えそうなものや、たいした落札価格(1,000円程度)になりそうもないものでも、「不用品が処分できて、評価も上がる」と、ついついオークションに出してしまうようになります。
オークションでの評価値というのは、本来は、自分のIDが「信用できるオークション参加者」であることをしってもらうための『手段』のはずです。
それが、いつの間にか「評価の値をどんどん上げて行きたい」という『目的』にすり変わってしまうことがあるのです。
もちろん、「オークションで取り引きすること自体が趣味なので、掛けた時間の割りに合わないくらいの利益でも、最悪赤字でも、全然構わない。自分のIDに高い評価が付くのが楽しみなんだ」という明確な意識を持った人であれば、どんどんオークションに参加すれば良いと思います。
でも、「もしかしたら安く買えるかも」「不用品は、捨てるよりも、ただ同然でも誰かに使ってもらったほうが環境に良いはずだ」と思っている人は、それが自分にとって本当かどうか、よく考えてみることをお勧めします。
さて、次回は、評価システムの有効性について、書こうと思います。
論点としては、「今のヤフオクの評価システムは、実はそんなに有効に機能していない」といったあたりで考えています。
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