Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 西表開発差し止め、請求棄却…「ネット原告」は認めるという記事が出ていました。
私自身、2年半前にホテル建設が行なわれている最中に西表島を訪れ、実際に建設地「月が浜」周辺に行っていただけに、興味を持って判決を見守っていました。
判決は、ほぼ自分の予想通りでした。
イリオモテヤマネコなど希少生物の宝庫として知られる沖縄県・西表島(竹富町)でのリゾートホテル開発を巡り、島の自然は人類の共有財産として、インターネットで応募した原告を含む463人が、ホテルを建設したユニマット不動産(本社・東京)に開発差し止めなどを求めた訴訟の判決が28日、那覇地裁であった。確かに、開発の差し止めが認められるだけの正当な理由はないと思います。窪木稔裁判長は居住地に関係なく、希望すれば裁判に参加できるとの判断を示し、「ネット原告」の原告適格を認めたが、「自然を愛するという人格権を侵害された」との原告側主張について「権利の内容が抽象的、漠然としている。開発差し止めを認めるほどの権利侵害はない」、島民原告についても、具体的な健康被害が生じる恐れはないとして、請求を棄却した。原告弁護団によると、自然保護訴訟で「ネット原告」の適格性を認めたのは初めて。原告側は控訴する方針。
自然の中にリゾートホテルを建設するのが許されないのなら、自然の中に住居や民宿を構えることがどうして許されるのか、納得の行く説明を出来る人はいないでしょう。
判決によると、同社は2002年、県の開発許可を受け、島北側の通称「月が浜」近くの約1・4ヘクタールにホテル、レストランなどを建設し、04年7月に全面オープンした。原告側はネットで全国から原告を公募し、建設中の03年7月以降、3次にわたって提訴した。西表島の環境を大事にすることは、西表島に行ったことのある私も、強く共感し賛同します。原告側代理人の井口博弁護士は「裁判に参加する道を閉ざさなかった点では一歩前進。だが、権利侵害について踏み込んで判断しておらず、残念な内容だ」と語った。原告代表の石垣金星(きんせい)さんは「西表島の環境を大事にしたいというのは、人類共通の願い」と話した。
大規模なリゾートホテルが建設されることも、景観の問題に加え、潜在的な環境汚染のリスクがあるので、個人的には反対です。
しかし、差し止める権利があるかと言われると、そこまでの権利があるという自信はないです。
願わくば、ホテル開業後も、ホテル側が島民とともに近隣の自然環境保護活動に積極的にあたり、「ホテルが出来る前よりもゴミが減って島が綺麗になった」と言われるようになって欲しいものです。
それが出来ずに、ホテル周辺の環境が悪化したことが確認されたら、その時点で営業中止処分の申し立てを出せば良いのではないでしょか。
もちろん、「そうなってから(自然が破壊されてから)では遅い」という主張はあるかと思います。
しかし、今現在、島内にいくつかの民宿があり、島外からの観光客を受け入れられる体制になっている以上、自然破壊がまったく進んでいないわけではありません。
私が行ったときにも、おそらく観光客が落として行ったのであろうゴミは、ちらほらと見掛けられました。
リゾートホテルを敵視するのではなく、現在の島民がリゾートホテルとともに一体となって、西表島の自然環境保護を推進することを期待します。
裁判官には、そうした提言をしてもらえると良いのに、と思います。
余談ですが、私が西表島に行ったのは2003年の11月下旬でした。
観光シーズンではなく、観光客はちらほらとしか観掛けられませんでした。
日本最西端の「西表島温泉」には2回行って、そのうち1回は利用者が私だけという時間帯もありました。
何より印象的だったのは、明け方に海のほうに行ったところ、道路周辺にたくさんの蛍が見られたことです。
手の上に野生の蛍を乗せられる観光地というのは、そうはないと思います。
いつか、もう一度西表島を訪れたいですね。
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