VEXILLE ベクシル 2077 日本鎖国【感想】

ベクシル -2077日本鎖国- Vexilleをワーナーマイカルシネマズ茅ヶ崎で観て来ました。
公開初日に映画を観に行くのは久し振りです。

※本記事には一部ネタばれが含まれていますので、観る前に内容を知りたくない方はご注意下さい。

公開初日の第1回上映の回なので、きっと混んでいるだろうなと思い、前日の夜にワーナーマイカルシネマズのe席リザーブから席の予約を取りました。
上映開始直前に見渡した限りでは、席は1/3余りしか埋まっていなかったようですね。
SFのCG作品ということで、観客層はあまり広くないのかも知れません。
それと、失敗したのは、「一般的に見やすい」やや後部の中央の席を選んで予約してしまったことです。
見やすい席は、間を空けることなく埋まってしまうので、前後左右は空席なしです。その結果、隣の人のビールの匂い、別の隣の人の鼻息、後ろの席の人のカバンを触る音、前の席の人の頭でスクリーンの一部が見えないこと、等などが気になってしまいました。
ある意味、お互い様なのですが、他人のノイズを気にしないで済むのは、多分、前のほうの席なのでしょうね。
前のほうでも、端の席でなければそれほど観づらくはないと思うので、次回からは前のほうの席を予約しようと思います。

以下、ベクシルの感想です。

まず、映像と音楽は、CG作品としてかなり高いクオリティで高い評価を得られる作品だと思います。
実写と見間違うほどではなかったですが、初期のCG作品に見られたような違和感はまったくなく、観ていて自然に感情移入することが出来ました。
CG作品の代表格であるAPPLESEEDもなかなか良かったですが、映像技術はどんどん進んでいるのだなと感じました。
ジャグを構成する金属片の一つ一つ、東京の街並みとそこで生活する人々の動きが、精細かつ自然に見えました。
あと、光による陰影もちゃんと表現されており、低予算のアニメを見過ぎた人にはかえって不自然に見えてしまったかも知れません。

さて、タイトルから「鎖国しているんだ」と昔の日本の鎖国状態から想像して、他国との交流を一切絶っている(出島を除いて)のだと思って観始めたのですが、実は少し違っていて、日本からもハイテク機器の輸出は行なわれており、米国の日常の様々なロボット機器にも、あちこちにDAIWAと刻まれていました。
鎖国の意味するところは、「日本の情報を他国に出さない」ということなんですね。
このことを早めに理解しておかないと、観ていて戸惑うかも知れません。

ストーリーは、米国特殊部隊SWORDの女性兵士ベクシル、その彼でSWORDの日本潜入作戦のリーダーを努めるレオン、レオンの元彼女で日本にいるマリアの3人を中心に進みます。
が、潜入作戦の途中からレオンの存在感が薄く(?)なり、日本本土への潜入に辛うじて成功したベクシルと、日本のレジスタンスのリーダーであるマリアを中心として、話が進んで行きます。
レオンの生体反応が大和重鋼本社の中から出た時には、「もしかして、レオンは大和重鋼と通じているの?」と思ってしまいましたが、そういうわけではなかったようです。

ベクシルとマリアは、仲間達の犠牲を伴いつつも何とか大和重鋼本社への突入に成功し、東京に住む人(?)達の協力もあって、大和重鋼の人工島は、マリアの目論見通り、ワイヤによって導かれたジャグによって破壊されます。
これによって、大和重鋼のキサラギ社長の計画は頓挫し、世界の人々は救われます。
日本全土での生体反応として、東京のベクシル、人工島のレオンと、もう1人いることが人工衛星による観測によって分かっていたのですが、もう1人というのは何と大和重鋼社長のキサラギ社長でした。
言ってみれば、彼が最後の日本民族だったわけです(ただし、鎖国前に外国に出て行っていた日本人のことは置いておいて)。
が、マリアは、人間キサラギの存在を許さず、キサラギに抱きついて自らと共にジャグに襲わせて、大和重鋼の計画に終止符を打ちます。
それが、マリアの人間としてのカケラが果たしたかった最後のことだったのでしょう。
マリアに限らず、レジスタンスの人々、ひいては東京に暮らす人々が、皆、「人間の生体金属化を世界に広めてはならない。そのためには、自分達は犠牲になろう」と考えて行動する当たりは、ちょっと涙ぐんでしまいました。
血の通った人間でなくなったことによって、人間らしさを追求した生活を送るようになったというのは、なんとも皮肉ですが、失って初めて失ったものの大切さに気づくというのは実際によくあることで、ストーリーとしてもなかなか奥が深いと感じました。

キサラギを羽交い絞めにして、マリアがベクシルとレオンに対して発した言葉は、口の動きしか描写されませんでしたが、多分、ベクシルとレオンが、人間として、幸せに生きて行くことを願って発した何らかの言葉だったのだろうと解釈しています。
このマリアの唇の動きを描写したシーンが、この映画で一番印象的でした。

ハイテク鎖国など、技術的に絶対に不可能なこともたくさん出て来ますので、理系の人は思わず突っ込んでしまうのでしょうけど、そうしたことに目をつぶれば、十分に楽しめる作品だと思います。
DVDが出てレンタルされるようになったら、改めてもう一度観ようと思っています。
この夏、見て損はしない映画だと思います。

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