無くならないマルチ商法

マルチ商法、マルチまがい商法、ねずみ講など、なかなかなくならないものですね。
先日、ワールドオーシャンファームのようなエビ投資詐欺に遭わないためにという記事を書いたばかりですが、またもやasahi.com:会員5万人から1千億円超 L&G社、出資法違反の疑い - 社会という報道がありました。
これは、完全なマルチ商法ですね。どうして騙されるのか、不思議でなりません。
そして、悲惨なのは、紹介するのが友人だった場合(多くの場合、そうでしょう)、出資先の破綻とともに、友人関係も破綻してしまうことです。
以下、疑うだけの根拠を挙げてみます。あまりに当たり前の話なのですが。

 L&Gは、約20年前から健康寝具や食品などを販売。01年ごろからは、100万円預ければ1年で36%の利息を受け取れるとする「協力金」など、3種類の投資商品を扱っていた。会員は、別の会員を紹介すると手数料が入る仕組みという。

年利36%に飛びついたんでしょうが、そのようなうまい話があると思った時点で、駄目です。
消費者金融の金利よりも遙かに高い金利ですよね。
もしも、年利36%が本当であれば、サラ金からお金を借りまくってL&G社にガンガン出資すれば、永遠に不労所得を得られることになります。
そしたら、誰も働かなくて済むようになってしまいます。
そんなのは、ありえない話です。

中学校の数学で習う背理法の論理を知っていれば、「おかしいぞ」と気がつくはずです。
「サラ金でお金を借りて、それを別のところに出資すれば、サラ金への返済以上のリターンがあって、働かなくても贅沢な生活を送れる」というのが真実のはずがないですから。

なお、蛇足ですが、「年利36%がありえない」と断言するつもりはありません。
うまく投資すれば、年利36%は可能だと思います。
ただ、そのような投資法が、広く公開されることはありえません。
誰にでも実践できる確実で高金利な運用」は、存在しないのです。

 朝日新聞の取材に、同社広報部は「昨年ごろから、勧誘をしない株主社員(会員)が増えたため、資金繰りが厳しくなった」と説明。出資法違反にあたるとの指摘には「年36%は不特定多数への配当ではないので違法ではない。解約希望者全員に今月末から返金を開始できるか分からないが、会社再建の努力は続けている」としている。

「会員が勧誘をしないから資金繰りが厳しくなる」と認めていますね。
要するに、「新たな会員からの入会金を、以前からいた会員への配当に充てていた」と白状したようなものです。

引用の順番は逆になりますが、

 しかし、今年1月、「協力金」の利息支払いを、それまでの現金から疑似通貨「円天」に切り替えることや、来年2月までは解約に応じないことを会員に通知した。

 この決定のあと、会員からの相談が全国の消費生活センターなどに殺到した。同社は今年5月、「協力金」の解約に9月から応じると方針転換したが、同時に「円天共鳴金」という名目で新たな金集めを開始。このため、会員や弁護士は、同社の資金繰りを疑問視している。

2007年1月の時点で、「既存会員に対して配当すべき金額>新規加入者の出資金」となって、既に破綻していたのでしょうね。
で、9月から応じてもらえるはずだった解約が、約束通り履行されず、今回の報道につながったのでしょう。
しかし、2007年1月以降に新規に加入した会員も少なくなかったはずです。
もっと早くに、消費生活センターや弁護士が動いて、メディアが報道していれば、新たな被害者は産まれずに済んだのでしょうけど...

でも、メディアが「マルチ商法だ」と騒ぐと、会社側は「マルチ商法ではないのに、メディアが虚偽の情報を流布したから、経営が破綻した」と言い訳するのも目に見えています。

騙されないための教育が必要だと思うのですが、既に学校を出た人に対しては、難しいですよね。
NHKあたりで、啓蒙番組を作って、定期的に放送したら良いと思うのは、私だけでしょうか。
そうすれば、友達に勧誘する際に「NHKでやっていたから、それはマルチ商法だよ」と友達から教えてもらえる確率が増えて、被害者も少なくて済むでしょう。
NHKとしても、公共放送として役立っていて存在意義があることをアピールできますし、良いアイデアだと思うのですが。