TSUTAYAのDISCASでKanon(カノン)のDVDを順次レンタルして見ています。
DVDの第6巻には、第16話[真夜中の聖譚曲~oratorio~」、第17話「姉と妹の無言歌~lieder ohne worte~」、第18話「消え去りゆく緩徐楽章~adagio~」が収録されており、主として美坂栞に纏わるストーリーでした。
個人的には、この第6巻が、一番じーんと来た感じがします。
始めに、珍しく秋子さんが体調を崩します。
それを見たあゆは、「秋子さんが僕のお母さんみたいに。」と言って慌てふためきます。
きっと、あゆのお母さんは、病気で入院したことがあるか、あるいは病気で亡くなってしまったのでしょうね。
病院の看護士さんが、あゆを見てびっくりしていたことも気になりました。
あゆにも、通院歴か入院歴があるようでした。
秋子さんが体調を崩した日に名雪が家に電話する時に、公衆電話を使っていたのも印象的でした。
今の時代、携帯電話が当たり前ですが、Kanonの時代は、まだ携帯電話が一般的ではなかった時代なのでしょうね。
公衆電話でのあゆとの会話を見て、祐一が名雪に対して「お前もいざとなると頼りになるな」と言った時の名雪は、とても嬉しそうな表情をしていました。
やはり、好意を抱いている男の子に褒められるのは、名雪にとって嬉しいことなのでしょう。
それはそうと、秋子さんが病気で寝込んでいるのに、次の日に栞をデートに誘う祐一もどうかと思いましたが、本当の親子ではないので、そんなものでしょうか。
今回、栞は、ちょっと言い過ぎかも知れませんが、名台詞を連発していました。
まずは、「思い出に時間は関係ないです。」ですが、昔のことでも最近のことでも、それに掛かった時間が短かろうが長かろうが、思い出になるかどうかは別の問題だと言いたかったのだと思います。
対人関係のみならず、含蓄のある言葉だと思います。
香里は、祐一を学校に呼び出し「あの子、何のために生まれて来たの」と涙して聞きます。
栞も、別の時に「奇跡でも起これば直るかもしれませんけど、起きないから奇跡って言うんですよ」と以前の香里と同じようなことを言っていました。
どうも「奇跡」というキーワードが、Kanonではポイントのようです。
そして、栞が言っていた「びっくりするようなこと」とは、栞が学校の制服を着て、学校に来ることでした。
それが、残り短い命の中で、栞がやりたいことをしても良いという周囲の配慮からだと思うと、泣けて来ましたが。
さて、祐一と栞のデートシーンを見ていて、細かいなと思ったのは、ぬいぐるみのお店で、「さわらないで下さい」の文字がちゃんとピンボケしていたことです。
そう思ってよく見ると、全てのシーンでというわけではないのですが、背景のフォーカスが微妙にずれているシーンが少なくないんですよね。これって、かなり凝っているなと思いました。さすがは、京都アニメーションです。
あと、栞が学校に来た時には、栞にも、香里にも、顔の上の部分に陰がありました。
光が当たっていないわけでもないのですが、これは彼女達の気持ちを表していたのでしょうね。
Kanonの中では、独特の表現でした。
そして、祐一が香里に「栞はお前とここで弁当を食べたかったんだ。」と言った時の、香里の、陰がある中での驚きようがよく表現されていました。
他のアニメスタジオには出来ない、繊細な表現だと思います。
栞の誕生パーティーが終わってから、香里は祐一に「本当に見る目がないわね、相沢君は。栞は、私の妹なんだから。」と言います。
実は、聞いた時、しばらく意味が理解できなかったのですが、これは家族のことを謙遜して言っていたのですね。
そうと分かると、香里が栞を思っている気持ちが良く分かります。
多分、謙遜する文化のない国の人には、なかなか理解できない表現だと思いますが。
それはそうと、栞は、家族に「今日は遅くなる」と言ってあったにしても、病弱で学校を休んでいる高校2年生が午前様というのはちょっと、とも思いましたが、人生最後のシンデレラとして、家族も黙認していたのでしょうね。
祐一と初めて出会った日の夜「この世界に一人だけ取りのこされたような感覚。自分だけが場違いな場所に入り込んでしまったような。」という台詞は、深海誠の「雲の向こう 約束の場所」に通じるものがありました。
祐一が栞との別れ際に言った「起きる可能性があるから、奇跡って言うんだ。」という台詞。
栞が祐一に言った「本当はこんなふうに、誰かと仲良くなってはいけなかったのかも知れません。」という台詞、そして祐一とのデートの最後に「私、笑っていられましたか? ずっとずっと笑っていることが出来ましたか?」という栞の台詞は、もう何度聞いても涙が出て来てしまいます。
やはり、男性は、女性に泣かれるのは辛いものがあります。
それを分かった上で、好意を持った男性に、最後まで泣き顔を見せないでいることが、相手に対して一貫した思いやりの気持ちなんだと思っていた栞は、本当に強く、そして思いやりのある女の子なのだと思いました。
最後に、栞が祐一に「私、あったかいもの、買ってきます。」という言葉を残して、栞はその場を去ります。
ノートに書置きして行ったのは、祐一に泣き顔を見せたくなかったからなんでしょうね。
栞という女の子の気持ちを思うと、ぼろ泣きしてしまうストーリーでした。
個人的には、ヒロインとしては、栞がナンバーワンに思えてしまいました。
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