箱根登山バスでの車椅子利用者の乗車拒否

今朝、年に数回の大雨の日の出来事です。
通勤途中に箱根登山バスに乗ったところ、車椅子利用者が乗車拒否される場面に遭遇してしまいました。
個人的には、乗車を断った乗務員の行動は状況的に正しかった(仕方がなかった)と思っています。
ただ、少々後味の悪い出来事でした。

その路線のその時間帯に車椅子の利用者がいるのはここ最近の慣例でした。
乗車時と降車時に乗務員がお手伝いをするため、通過するバス停では5分から10分の遅れが出ることが多く、そうした遅れに巻き込まれないよう、私はなるべくその1本前のバスに乗るようにしていました。
今日も、その1本前のバスに乗ろうと、大雨の中、傘を差して並んでいました。
雨の影響で道路が混んでいて、バスが到着したのは発車予定時刻を5分ほど回った頃で、待っていた人は少しでも早くバスが出られるようにと、そそくさとバスに乗り込んで行きました。

車椅子の利用者の方ですが、通常の前方扉からの乗り降りではなく中扉からの乗り降りになるので、待つ時は中扉の近くで、健常者の列とは別になって待っているのが通常でした。
今日は、屋根のあるところで大雨を避けるためだったのかも知れませんが、バスの発車時刻にも、バスが到着した(定刻の5分後の)時刻にも、その定位置に車椅子の利用者はいませんでした。
定刻を7分過ぎて、並んでいた健常者の大部分がバスに乗り込んで、車内がほぼぎゅうぎゅう詰めになって、ようやく発車かなと思えた頃です。
後のほうでバスに乗り込んだ、車椅子利用者の介助者と思われる方(普段は介助者の方はいなかったと思います)が、「車椅子の人を乗せて下さい!」と声をあげました。

運転手の方は、そのバスに車椅子の人が乗るとはその時点までまったく気づいていなかったようでした。
事実、定刻を5分過ぎたバスの到着時点で、待っている列の近くには車椅子の方はいなかったと思います。
その状況でさらに車椅子の方を乗せるには、車椅子用のスペース、それと乗り降り用のスペースを作るために、乗客の何人かに大雨の降る中でバスの外に出てもらい、車椅子固定用に中ほどの椅子を2席倒して、スロープを出して車椅子の方を乗せて、車椅子を固定して、といった作業が発生します。さらに5分以上掛かって発車がさらに大幅に遅れることは明らかでした。
そうすると、いつもその車椅子の方が乗る、次のバスの発車時刻をも過ぎてしまいます。

乗務員の方は「もっと早く言って下さい」と車内の介助者の方に言いつつも、申し訳なさそうに「次のバスを利用して下さい」と、車外にいた車椅子の方と、車内の介助者の方に言いました。
車内の介助者の方は、特に文句を言うことなく、バスから降りて行きました。

なお、今日に限らず、1本前のバスは満員乗車になることが時々あり、健常者の方であっても乗り込めない場合には「すぐに来る次のバスをご利用ください」と言われることがあります。

考慮事項のサマリーは以下です。
大雨が降っていたとは言え、少なくともそのバスが発車する定刻に、車椅子の方はバスの運転手から見えるところにはいませんでした。
乗車予定者が介助者込みで皆バスに乗り込んだ、定刻の7分後に、バス車内がぎゅうぎゅう詰めの状態で、車椅子の人が待っていると判明しました。
定刻ベースでは、その3分後に、次のバス、すなわち車椅子の方がいつも利用するバスが来ることになっていました。

バスの乗務員の対応が正しかったのか、改善の余地があったのか、色々な意見があるとは思います。
ただ、朝から色々と考えさせられた一日でした。