ヤフー:ネット競売詐欺出品の被害女性に誓約書要求

先ほどの記事ヤフー:利用者からの通報無視、不正出品オークションの続きです。
毎日新聞社からヤフー:ネット競売詐欺出品の被害女性に誓約書要求という記事が追加で配信されています。
もう、破廉恥な週刊誌並みの記事しか書けない毎日新聞は、絶対に取りたくないですね。

ヤフーオークションで勝手にIDを使われた女性が不正出品を取り消した問題で、運営会社のヤフー(本社・東京都港区)が、女性に手数料などを返金する条件として、「誓約書」への同意を要求していたことが分かった。誓約書は、返金を「特別の措置」とし、他の利用者に「迷惑をかけた」と謝罪したうえで、返金についての秘密保持まで約束させる内容。ネット詐欺の通報を無視されたうえ誓約書まで求められた女性は「どこまで客をバカにする気なのか」と憤慨している。
この東京都内の女性、自分の尺度でしか考えられないのでしょうか。
そもそも、自分のパスワード管理、パソコンの使い方(スパイウェア対策含む)に問題があったのは明らかでしょう。
その結果、他の利用者(入札者)、及びサービス事業社であるヤフーに迷惑を掛けたのは紛れもない事実です。

しかも、「返金に応じない」ことは、利用規約に明記されていることです。
今回、ヤフオク側から女性に返金の申し出をしていたこと自体、私には驚愕です。
もちろん、「何て良心的な会社なんだろう」という意味で、です。

こんなことを書くと、私がヤフーやソフトバンクの関係者なのではないかと思われるかも知れませんが、私自身、ヤフーにもソフトバンクにも利害関係はありません。
正直なところ、ソフトバンクという会社は好きではないです。

しかし、社会通念上、利用規約に反して返金する以上、当該女性に対してヤフオク側が一筆求めるのは当然ではないでしょうか。
まあ、確かにその文面は良くはなかったのでしょうけど、事実として「特別な措置」であることは明らかです。

女性は「詐欺の被害者を出さずに済んで感謝されこそすれ、支払いの義務など考えられない」とメールで抗議した。するとヤフーから「これに同意されない場合、返金措置は行えません」という注意書きとともに誓約書が送られてきた。
一体、何の理由で、誰から、感謝されるのでしょうか。
理解に苦しみます。
自分がパスワードの管理をちゃんとしていなかったのが良くなかったんでしょう。
先の記事に書きましたが、その女性は詐欺に発展する可能性があることを認識しながら、まずはヤフオク任せで、自分で出来ることをしていなかったわけです。
それによって、どれほど多くに人に迷惑を掛けたか、思いを馳せることはできないのでしょうか。

それに、出品取り消しの際に、当の女性は手数料支払い義務が発生する旨の画面を見て、それを承知して出品を取り消していたはずです。
「支払いの義務など考えられない」などと、よくも言えたものです。

しかも、後日、ヤフオク側からの返金の申し出まで受けているのです。

さらに、今回の件は、明らかに、当該女性からの毎日新聞社へのたれこみによるものでしょう。
明らかに、ヤフオクへの嫌がらせです。

これによって、今後、ネットオークションで、多くの模倣者が出るでしょう。
「これは自分が出品したものじゃない」と言えば通ってしまう可能性が、新聞社によって衆知されてしまったのです。
ネットオークションは、荒れ放題、大混乱に陥るでしょう。
すべては、この女性の身勝手な思い込みに端を発したことです。

それに、日本国内で主要な新聞社の一つである毎日新聞社のするべきことは、こうした「特別な措置」を公開することではないはずです。
こうした事件が起こった場合に、被害者が具体的に、まず、どういう対応をすればよいかを、具体的に示すことではないのでしょうか。それこそ、マスコミとしての使命だと私は思います。
例えば、先ほどの記事に書いたようなことです。

単に読者に危機感や不安感を煽っておいて、ゴシップ誌のごとく抜け穴を公開し、問題提起してそれで終わり、なんて、「大平誠」は新聞記者失格です。
そもそも、「成りすまし被害」の記事の後、「誓約書」の記事を、たった12時間後に配信するとは、一体どういう背景なのでしょうね。
あまりに恣意的で、不快感を覚えます。

ちゃんとした取材をして、ちょっと推敲してから客観的に記事を書いたら、その要約は次のようになったはずです。

・ある女性のヤフーオークションのパスワードが漏洩し、第三者によって不本意な出品がなされた。
・女性はしばらくメールチェックをしておらず、その出品に気がつくのが遅れた。
・出品に気づき、詐欺に発展する恐れがあると感じたが、出品の説明に「これは私が出品したものではなく、詐欺に発展する恐れがあります。この出品に書かれたメール宛先との連絡は決してしないで下さい」とすぐさま書けば良いものを、管理者であるヤフーオークションに対策を依頼しただけで、しばらくは放置した。
・ヤフーオークションからの返信がすぐに来なかったので、自分の判断で出品取り消しという対応を取った。その際に、取り消し手数料が課金されることを承諾する旨の画面は目にしており、それから取り消し処理を実行した。
・後日、取り消し処理の手数料として、ヤフオクのシステムが課金処理を実行した。
・女性は、課金に納得できず、ヤフオクに抗議した。
・ヤフオクは背景を考慮した上で、「異例の措置」として、返金することを申し出た。ただし、第三者による出品かどうかの確認は取れず、女性側にもIDとパスワードの管理に問題があった可能性が高かった。
・そこで、入札者、ヤフーオークションをはじめとする関係者に迷惑を掛けたこと、今後はパスワードの管理を徹底すること、次回以降同様のことが起こってもヤフオクは返金に対応しないことを女性が了承することを返金の条件として、女性に誓約書の提出を求めた。
・女性は、その文面が不本意であるとして、誓約書の提出を拒み、毎日新聞社に女性側の思いを連絡し、毎日新聞社は取材の上、記事にしてインターネットに公開した。

もちろん、ヤフオクの対応が、万人に賞賛されるほど完璧な対応だったとは思いません。
あの文面は、見直すべきでしょう。でも、ヤフオクの対応は迅速さには欠けていてもそこそこ誠意のあるものでした。ヤフーは、「利用規約に書いてあるし、返金は出来ません」と最後まで突っぱねることだってできたのですから。
逆に、毎日新聞社に垂れ込んだ女性の身勝手さ、毎日新聞社の大平誠記者の取材能力、文章構成力の不足、そして、提携しているMSNへの意図的な配慮のほうが際立っています。

【追記:2005/7/15 2:25am】
先ほど、Googleで検索した見たのですが、ヤフーの対応に否定的な記事ばかりで、ヤフオクに肯定的な文章は1つか2つでした。
これは、正直、意外でした。

私も、ヤフーは好きではないですし、ヤフオクで大失敗した経験があり、もうネットオークションに手を出すことはないでしょう。

そんなわけで、「ネットオークション考察」として、いろいろな視点で文章を書いています。

ヤフオクの対応には、嫌悪感を抱く人が多いのも、理解できます。
あの誓約書の文章は、確かに、読んでいてむかつくところもあります。

では、被害女性の対応は、どうだったのでしょうか?
ちゃんと利用規約を理解していたのでしょうか?
パスワードはちゃんと管理していたのでしょうか?

また、女性がヤフオクに望んだこと、すなわち「課金されるとは何事だ。払いたくない」という女性の主張を、ヤフーは最後まで突っぱねたのでしょうか?
違いますよね。
ヤフーは、誓約書の文面はともかく、誠実にも返金を申し出ていたのです。
しかも、それは今回、毎日新聞社の記事が出る以前のことだと、毎日新聞社の記事の中に明確に書いてあります。

毎日新聞社の大平誠記者の記事の内容も、ヤフオクの利用規約を理解せず、被害女性に十分な取材をしていなかったと言えるでしょう。
あるいは、取材した内容を恣意的に2回に分けて発表することで、ヤフーが悪者であることを印象付けようとしているようにも読めます。
私は、それに強い嫌悪感と憤りを感じました。

さらに、こういう場合、専門家のコメントを聞いて、利用者側、サービス提供者側、それぞれの立場での具体的な対策方法の例を挙げるのが、メディアとしての本来の役割のはずです。
単に「ヤフーはひどいでしょう」と喧伝するだけの記事で、ヤフー嫌いの人を増やす、これでは、毎日新聞社と提携しているMSNの、MSNオークションのシェアアップを狙っているのではないかと、勘ぐってしまいます。

これが、私がこの文章をブログに書いた理由です。

【追記】
マルセルさんからのコメント、ありがとうございました。
確かに「本人の知らぬ間にパスワードを盗み取られた」可能性も、あるとは思います。
どちらの可能性が高いかは、定量的に言えるものではないので、可能性の高さについての議論は控えさせていただきます。

ただ、ヤフーの対応は、そんなにお粗末なのかな、というのが私には未だに疑問です。
次の2点が、ヤフーが対応に苦慮したポイントになった気がします。

(1) 女性が警察に通報して被害届けを出しておらず、警察経由ではヤフーに削除依頼をしなかったこと。
→「警察に被害届けも出してある」と言えば、ヤフーの対応も変わったと思います。

(2) 女性のヤフオクIDに対応するメールアドレスも、パスワードも、変えられていなかったこと。
→ヤフオクでは、オークションが終了するまで、IDに対応するメールアドレスは公開されません。毎日新聞の記事から、出品の本文に別人のメールアドレスが記載されていたものと私は解釈しています。そのメールアドレスが女性のものでないことも、ヤフーが確認するのは困難でしょう。

このような状況では、ヤフーには、第三者による詐欺目的の出品なのか、あるいは女性本人が出品していたものを取り消したくなっただけなのか、判断の決め手がなかったと思うのです。

それでも、ヤフーは、女性のクレームに対して、返金の申し出をしました。
「誓約書の文面はひどいんじゃない」と言う点については、部分的には同感です。
また、女性への回答が迅速ではなく、ネットで言うところの平均的な時間をかけてしまったことも、同感です。ただし、迅速な対応を要求できるほどの高額なサービス料は、そもそもヤフーは取っていないことも事実でしょう。

事後とは言え、返金の申し出をしたヤフーの対応は、女性の取った一連の対応より、よっぽどマシだったのではないか言うのが、私の考えです。