半分の月がのぼる空 第3巻【感想】

TSUTAYAのDISCASでレンタルして観ました。
第3巻は、第5話「とめられた一分」と第6話「僕たちの両手は」の2話が収録されています。

第5話では、医師の夏目の過去が明らかになりました。
どうやら、医師の夏目の奥さんも、里香と同じような病気(拡張型突発性心筋症)だったらしいです。
それだけに、夏目は里香に対しては優しくして、逆に裕一に対して、自分と同じような境遇にならないように、あえて裕一に辛く、里香と仲良くならないように、あたっていたようです。

そんな状況で、夜中に外出していた裕一は、真夜中に道路で美沙子の車とすれ違い、そのまま美沙子の車で美沙子の部屋に行ってしまいます。
すんでのところで亜希子が止めに入りましたが、あやうく二人は大人の関係になってしまうところでした。

さて、手術を決意した里香ですが、手術中、手術室前に座っていた里香の母親は、裕一に厳しい視線を向けます。
里香の病状の悪化は、二度も病院外に連れ出した裕一のせいだと思われていたのですね。
たしかに、親としては、裕一にあまり良い感情は持っていないかも知れません。
それにしても「チボー家の人々」の「命を懸けて君のものになる R」という表現は、ちょっと直接的過ぎはしないかと思ってしまいました。

さて、第5話の最後、手術後の夏目からの裕一への説明、「多分、お前に取っちゃ、最悪の結末だ」は、ショックでした。
普通に考えれば、手術が失敗したと受け取ります。
予告編にも里香はまったく出て来ませんでしたし、誰もが「里香の手術は失敗した」と解釈したことでしょう。

ところが、医師の夏目の言う「最悪の結末」には、深い意味があったんですね。
これには、夏目の過去が影響していました。
里香の命は、長くはないけど、短くもない、そして、それに付き合うことは、裕一の人生に少なからず影響を与えてしまう、それが夏目医師の言う、自分の経験に即した「最悪」の意味でした。

これは、裕一にとっては、最悪なのかも知れません。
でも、里香にとっては、残された人生を楽しく生きられるという意味で、幸せなことなんですよね。

裕一に厳しかった夏目も、最後は、裕一に「運命とか未来とかは押し付けられるものではない」と言って、里香に会いに行くことをけしかけます。

窓から里香の部屋に忍び込もうとした裕一ですが、やはり一旦は母親に拒絶されてしまいますが、里香は「いいよ」と言って裕一を部屋に招き入れます。
里香の「そんなに長くはないよ。でも短くもないよ。あたしのために、何もかもあきらめなくちゃいけなくなるよ。」という科白。
それに対する裕一の「俺が決めことだから、里香にも反対はさせない。ずっと一緒にいよう。」という科白。
なかなか良かったです。

そして、何もよりもじーんと来たのは、亜希子の「一番大切なのは、自分の幸せ? 大切な人の幸せ?」という科白でした。
一番大人だったのは、亜希子でした。

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