沖縄でパラグライダーが海に着水する事故を目撃

今日の昼の12時45分頃、沖縄の海洋博公園の沖合いの海上に、パラグライダーが落水するのを見掛けました。
目撃後に公園の係員さんに話したところ、「よくあることだ」と言われたので、それならパイロットの仲間が救助してくれるのだろうと思い、特に110番通報(後で知ったのですが、海なので118番が正しいらしいです)はしなかったのですが、パイロットの着水後にパラグライダーのキャノピーがゆっくりとパイロットの頭上で左に傾いて行って水面に沈んだシーンが忘れられないので、記事にしておきます。
ちなみに、私自身、16,7年前にパラグライダースクールに通っていたことがあり、パラグライダーに関して若干の知識はあります。

海洋博公園のイルカショーを見るため、ショーの劇場の向かって左端付近の最前列に座ったのが、12時40分くらいでした。
その時に、左手の海を何気なく見たところ、パラグライダーがやけに低く飛んでいるのが目に入りました。
遠かったのですが、パラグライダーのキャノピーとパイロットの間隔を考慮に入れて目測して、パイロットの高度は海の水面から20メートルもなかったと思います。海ですから、すぐ近くに着陸出来る場所などありません。
手元にあったハンディビデオカメラを最大望遠にして見たところ、遠くだったので鮮明ではなかったのですが、パイロットの体がキャノピーの真下よりも前にあって安定しているように見えました。なので、ノーマルのパラグライダーではなく、モーターパラグライダーなのだろうと判断しました。ビデオカメラの画面の映像からはプロペラの有無は確認出来ませんでしたが、ただのパラグライダーならば、あの高度になった時点で海に落ちるのは確実なので、きっとモーターパラグライダーに違いないという思い込みがあっての判断だったのかも知れません。

少しの間、イルカショーの会場のほうを見ていて、再度海上に視線を向けたところ、パラグライダーの高度が更に下がっているのが分かりました。
すぐさまビデオカメラを最大望遠にして画面を覗いたのですが、この時、見ることに注意がいっぱいで、録画するというオプションがあることが頭の中からすっかり抜け落ちていました。ですので、映像記録は残っていません。

「海上すれすれを飛ぶとは、チャレンジングな人だなぁ」と思う一方、「もしかして、何らかの事情で高度を維持出来なくなっているのかも」という思いも生じて来ました。
最大望遠で画像が不鮮明なこともあり、両手でカメラをじっと固定してパラグライダーの動きに見入っていました。
まず、パイロットが着水したように見えました。
ただ、キャノピーはしばらくの間パイロットの真上を維持しており、本当に着水したのか会場すれすれでまだ飛び続けていたのか、断定は出来ません。
その後、数十秒くらいで、キャノピーがゆっくりとパイロットの頭上で左側に傾いて行って、アコーディオンが縮む時のように海面に沈んで行きました。
キャノピーの短い方向にカラフルに色が付いていて、赤と黄色が混ざったラインのカラーリングだったのを覚えています。

この時点で通報するべきだったのかも知れません。
ただ、以下の3つのことがあって、通報するのを躊躇してしまい、結果的には通報はしませんでした。

一つ目は、パラグライダーの文化です。
十年以上前ですが、パラグライダーのスクールで関東地方のエリアを飛んでいた時に言われたのが、何かあった時はまずパラグライダー仲間で何とかするということでした。言い方を変えると、仲間内で助け合うことができるようにしておく、ということです。
仮に田んぼや畑にランディングしてしまっても、その敷地の持ち主に救助を求めるのではなく、救助は仲間が行なって、後で迷惑を掛けたことを土地の持ち主にお詫びに行く、そういうものだと聞いていました。
今回の海上飛行についても、当然、パイロットの仲間が無線で状況を聞いていたはずで、緊急時には小型のボートか何かで救助できるような体制になっていたと思われました。

二つ目は、エリアの問題です。
もしも私が通報していたら、海上保安庁などが確実に救助に向かってくれたでしょう。
一方で、通報してしまって公的機関による救助活動が行われてしまったら、救助費用の問題も含めて、当該エリアの飛行が今後禁止されるであろうことも想像がつきます。
私の体験として、スクールで7,8人でとある離島に飛びに行った時に、山の中腹から飛び立って砂浜に着陸するコースで、途中民家の上空(と言ってもすぐ上ではなく100mくらいの高さはあったはずです)を飛んだことがあったのですが、どうやらその地域の人が警察に通報したらしく、ランディングしていた砂浜にパトカーがやって来ました。私自身は法律のことはよく知らなかったのですが、スクールのコーチが警官にその場で事情聴取を受けた形になって、特にお咎めはなかったものの、その地で再び飛ぶことはありませんでした。正直なところ、余計なことをされたなという思いがありました。
今回、もし仲間内での救助体制が出来ていたとしても、完璧と言うことはないでしょうから、私が通報をしていたならば通報を受けた海上保安庁あたりが動いたはずです。その結果、この地域のフライヤーの方々に迷惑を掛けてしまうのは避けたいという気持ちがありました。

三点目は、冒頭にも書きましたが、公園のイルカショーの係員さんとの「よくあることですよ」というやりとりです。
「パラグライダーって何ですか?」みたいなやり取りになっていたら、躊躇せずに通報しましたが、にこやかに「よくあることですよ」と係員さんに返されてしまったので、緊急事態という思いが一気に萎んでしまいました。

とは言え、悶々とした気持ちはそれからも続いていて、その後のイルカショーや家族との海遊び、夕食の最中、ずっと気になっていました。
無事に救助されていれば良いのですが。

■2012/7/28 20:00追記
25日の夜にインターネットで検索したところ、22日の沖縄県八重瀬町での自衛官のツリーランによる死亡事故の記事が多数見つかりました。
今、28日の夜の時点では、25日に沖縄でパラグライダーの事故があったという記事は、私のブログ記事くらいしかインターネット検索でヒットしません。
無事に救助されたのだろうと思うことにします。